大阪|戦後から創業、梅田の名純喫茶「マヅラ」(北区梅田)

とても 久しぶりに大阪に来ています。東京や横浜も再開発ラッシュで色々な名店の閉店や、名建築の解体がすごい勢いで進んでいますが、もしかしたら大阪も・・ということで時間の許す限り、レトロ巡りをしています。

 

 大阪・梅田の喫茶店というと、真っ先に思い出すのが「マヅラ」さん。多くの人がブログやSNSでアップしていて、お店の歴史や人気メニューなどについてはもうあまり書くことがないほどの名店です。

 


 
それでも記録ブログなので一応書いておくと、マヅラさんは1970(昭和45)年の大阪駅前第1ビル完成と同時に、地下1階に入居されています。
 
大阪駅前第一ビルは、地上12階地下6階建てのビルで、地下1階~2階は飲食店や金券ショップが多く、上はオフィスになっている大規模雑居ビル。JR大阪駅からも全然歩けるのですが、JR東西線北新地駅、地下鉄四つ橋線西梅田駅が一番近いのかも。東京でいうと、新橋駅前第一ビルやニュー新橋ビルに似ている感じがします。これも時代ですね。
 
 
いかにも昭和のオフィスビルという雰囲気。

 初代のマスターは、何と1920(大正9)年のお生まれです。当時、日本統治下だった台湾で生まれ、終戦後の1947(昭和22)年、闇市にわずか15坪ほどの名曲喫茶をオープンしたそう。当時は戦中よりひどい物資不足だったと思うので、オープンするだけでもかなりご苦労があったのではないでしょうか。


このときからお店の名前は「マヅラ」。学生時代に旅行したインドネシアのマドゥラ島の思い出から名づけたとか。
 
 
戦後しばらくは食料や物資の不足も続いていたようですが、それ以上に続いたのが文化に対する飢えだったと思います。あちこち演奏会などが開かれるようになっても、庶民にはチケットなんてとても手が届かない時代、たとえ十数坪のお店でも、ショパンやモーツァルトなどのクラシック音楽やおいしいコーヒーを味わえる空間がどれほど庶民の心を潤したのか。

 

100坪もある現在の店内のキラキラした内装は宇宙船をイメージしているそうで、オープン当時からさほど変わっていないとのこと。当時は、アポロが月に行ったというニュースや、1970年には大阪万博もあったことから、今の時代とは違った、本当に夢や希望を持てるようなキラキラ感というか、日本がすごく元気な時代だったんだなと思います。
また、これまで地上にあったお店も、ビルに入居することにより地下で営業することになったため、開放感を意識されたのだとか。

大阪市が発信する「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」にも選定されていますが、今ではもうこういうのは作れないですよね。


 

こちらがオープン当時の写真。 何とも言えないものがあります。味わい深いですよね。この時代に来てみたかったなあ。


 

 

頂いたのは、ナポリタンと並ぶ人気メニューのひとつ「ハンバーグサンド」。
大阪駅前ビルは一等地なので、家賃も相当高いと思うのだけど、700円というお手頃価格でした(2025年3月現在)。


 
こちらがメインの入口。レジがある方です。
初代オーナーのお写真をはじめ、マヅラの歴史がわかる展示がされています。


反対側の通路には、もうひとつの入口が。
こちらには写真などの展示コーナーはありません。


 

21時以降はバーとして営業されているそうです。
すぐ近くにある姉妹店「King of Kings」、こちらも行く価値ありです。今回は時間がなくて行けなかったけれど、次回は是非。
再開発が進んでいますが、駅前ビルの解体時期などの情報は10年以上前から色々言われていて定かではないので、まだ大丈夫だよね!!!と思いつつ。

 

ちなみに下の写真は、大阪駅前ビルを建設中の写真。
この頃は、日本の景気は上向きになり、豊かになり始めていたと思いますが、それでも今ほど外食が気軽にできる時代ではありませんでした。外食産業が大きく伸びてきたのは1970年代後半に入ってからですが、そうした時代の変化を乗り越えて今に至ってるというのは、すごいことだと思います。


私達は単純に「10年」とか「50年」とか口にするけど、目に映るものだけでもこんななに大きく変わっているんですよね。再開発でこのあたりの地図も変わってしまうので画像で貼っておきます。

 

マヅラ喫茶店(食べログ)
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27004819/

MAPを見たい方はこちら(↓)

https://maps.app.goo.gl/nioHj1tmyaJg2Zbq6

 

 

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