東京|皇居ランナーにも人気「稲荷湯」/少し、お稲荷さんの話(神田)

 

宮造りなど、いかにも昭和の銭湯という感じのところばかり記事にしてきたけど、ビルトインの銭湯でも紹介したいところはいっぱい。たとえばここ、JR神田駅と大手町の間くらい(A1出口からなら、大手町の方が近い)「稲荷湯」さん。


既にここにあった銭湯を、現在のご主人のお父様が1955(昭和30)年に購入し、1982(昭和57)年に建て替えてビルトイン銭湯になったとか。中はさらにリニューアルされていて非常にきれいです。

まさかこんなオフィス街に銭湯があるとは思いもしなかったけど、仕事帰りのサラリーマン、近くのビジネスホテルに宿泊している出張者、再開発中の大手町の工事現場で働く人たちが来ています。が、特筆すべきは、皇居ランナーズステーションとしても多くの人が利用されていることでしょうか。


 

私が来たときも既に何人かのランナーさんが荷物をロッカーに入れたのち、目の前にある小さな公園で準備体操や待ち合わせをされていました。

ランナーズステーションとして利用される場合はフロントへの申告が必要とのことですが、特にややこしい決まりがあるわけでもなく、非常に利用しやすいとのこと。他にも皇居周辺にはランナーズステーションがあるそうですが、銭湯をステーションとして利用できるのは、すごく有難いと仰っていました。ちなみにここから皇居までは700mくらい。

 


 

この「稲荷湯」さん、以前は違う屋号だったそうですが、買い取った際に「稲荷湯」に屋号を変えたのには、隣に「御宿稲荷神社」があることから。このあたりは本当にお稲荷さんが多くて、およそ2.5km四方のエリアに30くらいの稲荷社が点在しているそうです。たしかに多いとは思ったけど、そんなにたくさんあるとは思わなかった!

お稲荷さんというと化かされる、祟られるなど怖くて近寄り難いイメージがありますが、実は「お米」の神様です。

狐は、本格的に春が訪れる前に山から里へ下りてきて神様を先導している神の使い、また田んぼを荒らす鳥獣を追い払ってくれることから「お米の神様」として親しまれるようになったという説があります。でも、かつては武家屋敷が建ち並び、江戸開城の頃から職人と商人の街として発展した神田にどうしてこんなにたくさんいるのだろう??


今は「内神田」だけど、このあたりもかつて「鎌倉町」だった。
 

歴史を遡ると、お米は貨幣のような役割を果たし、「何万石」という単位も存在していたし、「年貢米の徴収」という制度もありました。そういう流れの中で、お稲荷さんも「お金の神様」に変化していったのかもしれません。
神田に関していえば、お稲荷さんが守って来た町なのか、町の人たちにお稲荷さんが大切に守られてきたのかわからないけれど、これもエリアの大切な歴史かなと思います。


それにしても、どうして怖いとか近寄り難いイメージがつきまとうようになったのか、そっちの方が不思議な感じがしてきますよね。


稲荷湯
https://www.1010.or.jp/mag-tokyosento-inariyu/


やや熱めのお湯が本当に心地よかったです。また、ここではよくあるペンキ絵ではなかったけれど、ちょっとユニークな感じ。皇居ランナーでなくても、観光や散歩で来たときに立ち寄るのもよさそうだなと思いました。特に夏場の暑いとき、冬の寒いときは本当にいいと思います。近くにおいしい飲食店もあるし(笑)。

 

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あと、稲荷湯さんでは定期的に「がんサロン」を開催されています。X(旧Twitter)で開催案内をされています。2022年に「がん患者さんやそのご家族のささえあいを目的とした集いの場」として、東京都小平市内と稲荷湯にて、月ごとに交互開催をされているとそうです。


X(Twitter)
https://twitter.com/inariyu_kanda

がんサロン(キャンサーお喋りカフェ)
https://sites.google.com/view/cancerosyabericafe/



 

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