東京|4年ぶりの雪景色

2022年1月6日、東京でこんなに雪が積もりました。多分、4年ぶりくらいかな。東京、特に皇居近い中心部の雪景色を見ると、歴史的なドラマ「赤穂浪士の討ち入り」、「桜田門外の変」、「二・二六事件」が頭に浮かびます。

いくら昔は東京も今より寒かったといっても、30cmを超える積雪は滅多にないので、降雪と歴史的な事件はすごくドラマチックに思えます。

 


東京での過去最高の積雪は1883(明治16)年の46cmという記録があるそうです(2022年1月時点)。さすがに40cmを超える積雪が観測されたのはこのときだけのようです。このときドラマ化や映画化されるような大きな事件はないものの、自由民権運動に対する弾圧事件はたくさんあった時代です。

 



赤穂浪士の討ち入り
赤穂浪士が吉良上野介の屋敷に討ち入ったのは、旧暦の1702(元禄15)年12月14日。ドラマでは、雪の降りしきる中、吉良邸に勇ましく向かう赤穂浪士たちの姿が描かれていますが、実際には討ち入りの前日が大雪で、当日には雪はやみ、月の見える快晴だったそうです。真冬で夜が長いことに加え、雪の吸音効果のおかげで47人の浪士たちは、誰にも気付かれずに吉良邸に到着することができたと言われています。さすがに何cmという記録はなさそうです。

 

 

桜田門外の変
1860(万延元)年、徳川幕府の大老・井伊直弼が殺害された桜田門外の変では、早朝から降りつけた雪が大きな役割を果たしています。
映画化もされているので観るとなるほどと思うのですが、降雪で視界は悪いこと、井伊家の供侍たちは雨合羽や防雪用に刀の柄・鞘とも厳重に革袋を付けていたこと、そのため3分の1程度の人数しかいない水戸浪士らの切り込みに対して、咄嗟の反撃ができませんでした。
これが幕末から明治維新へと展開するスタート地点になりました。ここ(日比谷公園)から桜田門は近いので、こんな雪の日にあったのかと思うと、感慨深いものがあります。



 

二・二六事件
1936(昭和11)年2月26日、大規模なクーデター「二・二六事件」が発生しました。この年は、東京に度々大雪が降る寒い年で、2月4日には暴風雪により積雪は32cmに。2月23日にも大雪が降り、積雪36cmを記録。そして事件当日の朝にはもともとあった10cm超えの積雪の上にさらに雪が降り積もり、22cmほどになっていたとか。ただ、実際には、雪は残っていたが、反乱軍兵士が出動したときには雪は降っていなかった・・というのが正しいようです。


ただ、この二・二六事件が起きた年は、昭和凶作群と呼ばれる「毎年のように発生していたひどい冷害」によって、特に北日本の農家が困窮し、疲弊しきっていた時期でした。
※昭和凶作群:昭和6年・東北と北海道、昭和7年・北日本(特に北海道)、昭和9年にも北日本、昭和10年に北日本と東日本。

 

 
1945年2月22日(終戦の約半年前)
歴代2番目の積雪量である38cmを記録しました。雪に慣れていない東京にとっては、こんなに積もっただけでも大変なことなですが、終戦の半年前はもう物資も食料もなく、国民が非常に厳しい生活を強いられていたときです。この年は東京だけでなく、北陸や東北の各地でも大雪にとって多くの被害が出たそうです。

どうしてそういうときに、そんなに降るかね・・・



東京は雪に弱いと言われ、雪深い地方出身の人からすると、「このくらいで寒いのか」「この程度の雪でどうして電車が止まるのか」「どうして転ぶのか、交通事故が起きるのか」という質問を耳にします。

私は聞かれたことがほとんどないのですが、見下したように聞かれた場合は「歴史を150年くらい振り返っても、40cmの積雪も一度きり、30cmを超えることも滅多にないところなの。そもそもそんなに雪降らないの、知ってて聞いてる?」って聞き返すことにしています。すげー嫌な返し方ですけど、二度と聞かれなくなります。
しつこいやつだと「それにしてもさあ~」とか言ってきますよね。知ってるのに、どうして聞くんだろう?



東京で雪が災害として意識されるようになったのも、道路交通網、鉄道網や電力網が発達し始めた明治時代から。昭和に入って自動車が増えると積雪の影響はより深刻になったものの、一番降るのは2月、3月は予測が付きにくいけど中旬でも降ることがあるかなという程度。しかも毎年積もるわけではありません。
設備も心構えも大きく異なって当然なのですが・・・。というか、比較すること自体間違っているって思わない?(笑)。
まあ、不便ではありますが、これは仕方がない。


昔は、もう少し降ったし、11月も半ばになると通学途中に霜柱を見つけたり、薄く氷が張っていたりしていました。雪が積もると嬉しくなって、みんなでワーワー遊んでいた記憶があります。降ると色々大変けど、全く降らないのも寂しいなあ。


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