[PR]
1999年9月21日01時47分(現地時間)、マグニチュード7.6。
震源地は台湾中部の南投縣集集(ジージー)鎮の九份二山。爆心地とも呼ばれているこの場所は、現在では「九份二山震災紀念公園」として開放されています。
日本で起こる地震は震源は海底であることが多く、陸地が震源地だったらその付近がどのような状態になるのか想像もつかないけれど、この光景を見たとき、本当にショックだった。わずかに足が震えていました。
ここには売店があり、ガイドさんらしき老紳士が居ました。
彼はこの地域に住んでいて、もともとこのあたりはなだらかな山々だった、写真に映る赤い屋根の家は、他の場所から飛ばされてここに着地したといいます。
。 |
漫画みたいな話ですが、中に居たら景色が変わっててびっくりしただろうとユーモアたっぷりに話してくれました。笑っていいのか、不謹慎ではないか?と戸惑いました。これが台湾の国民性だとか台湾式の乗り越え方だとまでは言わないまでも、私達が要らぬショックを受けないためかもしれないし、よほど私がドヨ~ンとしていたのかもしれないから、こちらも明るく反応することにしました。
(大変な話を聴くことは、とにかく難しい)。
この地震によって、標高1000mを超える高さから、谷底500mまで(計1500m以上)、一気に山が崩れ落ち、その間たったの40秒程度だったとも言われています(2分弱だったという説もあり)。
谷底に降り積もった土砂の高さは、なんと200mを超えていたといいます。山がまるごとなくなるって想像できないですよね。
かつては、緑豊かな美しい山々と、集落では私達と何も変わらないごく普通の人達の、ごく普通の暮らしがありました。どうやっても救助の手が届かないまま、今でもたくさんの家や人がこの地に眠っているそうです。
本当に言葉がないです。ただ、ただ、心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
さまざまな国や企業や団体、ボランティアからの支援を受けつつも力強く復興し、穏やかな日常を取り戻したように見えても、あらゆるところにその傷跡は残っています。未だに商売に影響が出ている方もいれば、当時のつらい記憶が蘇ってしまう人もいて、多くの方たちが「家は建て直せたけど、亡くなった人達も見慣れた風景も、もう元には戻らない」と、今でも嘆いています。
かける言葉が見つかりません。
今回ここに連れて来てくださった台湾人のLさんも南投で被災しています。ご自分の経験もお話してくださいましたが、彼がこうして話せるようになるまでの道程が一体どのようなものだったかを思うと、胸が痛みます。
もちろん、今でも言葉にならないものはたくさんあることもお察しします。
また、この公園内には、「磁場屋」「磁力小屋」「傾斜小屋」と呼ばれている、どうやってもまっすぐ立てない場所がありました。画像を見ると、家は左に傾き、手前の柵は右に傾いてる。ペットボトルは縦にしても横にしても転がりません。
この写真を撮った位置から見ると崩れちゃった場所だなと思う程度なのですが、この柵を超えると平衡感覚がわからなくなり、眩暈と体が重たい感じに襲われる家の中に入るとその不快感はさらに強烈になり、奥へ行くほど強烈になります。空気が違っていて、濃いというか、淀んでもいるし、うすら寒く、長居はしたくない感じ。全然、まっすぐ立つことができませんでした。
台湾の人たちは
「今でも磁場が狂っている。方位磁石もくるくる回ってしまう。」
「ここは、ミステリースポットです!!」
と、大興奮!
写真もそうだけど、現地に居て傍から見ると何をやってるのかなあ、ホントかなあという風にしか見えませんが、実際に小屋の中に入ると身体を動かすことにすごい力が必要でした。
画像の左から右に行くのにめちゃくちゃ苦労して、やっと右側に到達できたかと思ったら、今度はドアの方に、体が吸い寄せられてしまう、といった具合。でも、ドアの方が位置が高くて、手前に向かって傾いているのですよね。
また、画像の左側を向くのはいいけど、右の方に向くともう立っていられない。壁づたいに前進を試みても無理。ここから出て20分くらい、船から降りたときみたいにフラフラしまっすぐ歩けなくなりました。少し気持ち悪くなったり、耳鳴りがしたり、頭痛までしてくる有様。人によっては、こんな風に身体がおかしくなるので、気をつけてくださいね。
どうしてこうなるんでしょうね?
●九份二山震災紀念公園
https://blog.xuite.net/liwen2010/blog/382317932
* * * * * *
【追記:2011年5月】
この地を訪れ、執筆したのが2005年12月です。ご案内くださったL様はじめ、台湾の皆様へ気持ちは今も変わっていません。
2011年3月11日、日本でも東北を震源とする大きな地震がありました。台湾の皆様から、迅速で多大なご支援や励ましを頂きました。ご自身が抱える大きな痛みを越えて、共感を寄せ、支援してくださった皆さまに心よりお礼申し上げます。
コメント